今月の法語(令和8年8月)
佛 法 僧
私は、幼い頃から空を見上げることが好きでした。
夏の力強い入道雲や、真っ青な空に一本すっと伸びる飛行機雲。
空を眺めているだけで、時間を忘れてしまうような子どもでした。
ところが大人になった今、毎日同じ空の下で暮らしていても、
ゆっくり空を見上げることが少なくなったように思います。
雨が降れば、「今日は出かけるのに困るな」「洗濯物が乾かないな」と考え、
晴れれば、「暑いな」「日焼けが気になるな」と思ってしまう。
いつの間にか、子どもの頃とは空の見え方が変わってしまっていました。
そんなある日、雨上がりの空に大きな虹がかかっていました。
思わず、「うわあ、きれいだなあ」と声が出ました。
その瞬間、小学生の頃に誰からともなく聞いた言葉を思い出しました。
「虹の麓(ふもと)には宝がある。」
皆さんも、一度くらい耳にされたことがあるのではないでしょうか。
私は子どもの頃、その話を本気で信じていました。
ある日の学校帰り、大きな虹が山の方へ伸びているのを見つけました。
「あそこに宝があるんだ。」そう思い、今すぐ行きたくなりました。
しかし、子ども一人で入れるような山ではありません。
結局、宝を探しに行くことはできませんでした。
今思えば、虹には麓などありません。
近づけば近づくほど遠ざかり、つかもうとしても決してつかめないものです。
けれども、私たちもまた、
それぞれの「宝」を求めながら生きているのではないでしょうか。
皆さんにとって宝とは何でしょう。
健康でしょうか。
家族でしょうか。
あるいは財産や仕事、生きがいと答えられる方もあるでしょう。
もちろん、それらは私たちの人生にとって大切なものです。
しかし、お釈迦さまは、
それ以上に大切な宝として「佛・法・僧」の三つをお示しくださいました。
これを「三宝(さんぼう)」といいます。
浄土真宗で「佛」とは、阿弥陀さま。
「法」とは、阿弥陀さまのみ教え。
そして「僧」は、阿弥陀さまのみ教えを聞き、お念仏をよろこぶ共同体(仲間)のことです。
阿弥陀さまは「あなたをそのまま引き受ける」と願ってくださっています。
そのおこころを聞かせていただきながら、
今日もお念仏申す一日を歩ませていただきましょう。
合掌
