法話
今月の法語(令和7年3月)
和顔愛語
~仏頂面(ぶっちょうづら)はいけませんよ~
和顔(わげん)愛語(あいご)は、「和顔」はやわらかな顔、「愛語」はやさしい言葉。
つまり、文字通り、笑顔で愛情のこもった言葉で話すことです。
この言葉は、学校での教訓になったり、額や書幅(しょふく)にも書かれたりして、
おなじみになりました。
この言葉は『無量寿経』(むりょうじゅきょう)に出てくる言葉です。
法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)が阿弥陀仏(あみだぶつ)になるために修行に励んでいるところで、
「和顔愛語にして、意を先にして承問(じょうもん)す」とあります。
現代語版では「表情はやわらかく、言葉はやさしく、相手のこころを汲み取ってよく受け入れ」
と訳されています。
親鸞聖人(しんらんしょうにん)はこの経文(きょうもん)を、
『教行信証』(きょうぎょうしんしょう)にも
『浄土文類聚鈔』(じょうどもんるいじゅしょう)にも引用しておられます。
お金や物がなくても誰にでもできるほどこしである 「無財の七施」(むざいのしちせ)には、
「やさしい言葉で相手に接するほどこし」や、
「善意に満ちた和やかな顔と明るい姿で相手に接するほどこし」があります。
人間関係にはたいへん大切な態度ですが、心に余裕がなければなかなかできるものではありません。
現代のような殺伐とした世の中では、なおさらですね。
しかし、そんな世の中だからこそ、教えにあるように、相手のこころを汲み取ってよく受け入れ、
「和顔愛語」を忘れないようにしたいものですね。
「くらしの仏教語豆辞典 下」 文:辻本敬順・本願寺出版社より